【九蹴日記】鹿児島: 華麗さと泥臭さを兼ね備えた司令塔が、支えてくれた人たちのために勝利を掴み取る〔赤尾公選手:鹿児島〕

  • ボランチとしてチームを引っ張る赤尾選手。チーム浮沈の鍵を握る選手の一人と言っても過言ではない。

広い視野と長短織り交ぜた正確なパスで好機を演出したかと思えば、自らも強烈なミドルシュートを放ち積極的にゴールを狙う。 守備でもハードワークを厭わず、プレスのスイッチ役を担う。
攻守に渡ってチームを支える司令塔であり、鹿児島ユナイテッドにとって欠かすことのできない存在。それが赤尾公選手だ。
鹿児島実業時代には全国優勝を経験、鹿屋体育大学でもキャプテンを務める等、輝かしい実績を残している赤尾選手だが、プロとしての道のりは決して平坦ではなかった。

2010年、当時JFL所属であったガイナーレ鳥取へ加入。前期第16節、後半85分に途中交代で投入された赤尾選手は、交代直後の86分にゴールを決めるという衝撃のデビューを飾った。
そしてその年、鳥取は見事JFL初優勝を果たし2011年のJ2参入を決める。
しかし、2011年Jリーグのピッチに赤尾選手が立つことはなかった。出場は結局2試合のみに留まり、翌シーズンの契約は更新されなかったのだ。

翌年、赤尾選手は一度現役を退き、スクールコーチとしての経験を経て、2012年から鹿児島ユナイテッドの前身ヴォルカ鹿児島で現役復帰。ヴォルカ時代も含めると、鹿児島でのプレーは今年で5年目となる。
地域リーグ時代から、「周りの支えをすごく感じていた」という赤尾選手。「地域リーグ時代から支えて下さった方々に、Jの舞台で自分たちがやっている姿を見せることができて、すごく充実感のある毎日を過ごさせてもらっています。だからこそもっと上を目指したいですし、ホームで勝ち試合を見せたいという想いは強いです」
その言葉、プレーからは強い責任感と意志、チームを引っ張っていこうとする想いが感じられるが、本人は「僕は完全な自己中ですけど(笑)」と笑う。
「ありがたいことに、僕より年齢の高い選手が声掛けだったり、すごく色々と気を遣って下さるので、自分がどうこうするというより、その人たちと一緒にチームを盛り上げるという風にやっているので、周りの人たちに恵まれているかなと思います」

たしかに、鹿児島ではベテランの選手たちが率先して声を出し、他の選手も一緒に盛り上げていく様子が普段の練習からも見て取れるが、赤尾選手も「副キャプテンをやらせて頂いているので、そこは意識してやっている」のだそうだ。
赤尾選手が「チームの仲の良さは抜群」と語る、チーム全体のポジティブな雰囲気は、ベテランと中堅、若手が上手く噛み合っているからこそ作られているのだろう。
2016年、そんなチームメイトや支えてくれる人々と共に鹿児島ユナイテッドの選手として晴れてJリーガーになった赤尾選手。
5試合を終えて10位(4月27日現在)という順位については、「チームとしては、シーズン始まる前からカテゴリーが上がってもやれるという自信を持って入りました。2勝1分2敗という成績、欲を言えばもっと勝ち星を重ねたかったですけど、今のところは順調に来ているのかなと思います。個人的にはもっと得点だったりアシストだったり、目に見える結果を出さないといけないので、そこに関してはまだもうちょっとやらないといけないなという感じです」と、チームとしての闘いぶりには一定の手応えを感じつつも、自身のパフォーマンスには反省を口にする。
だが、自分への厳しい評価は弛まぬ向上心の証でもある。赤尾選手に対する周囲の期待値は高いが、本人もまた自分自身のプレーに対し高いハードルを課している。

今年4月10日のJ3第4節では、古巣・鳥取との対戦が実現。前半に奪った一点を守り切り、勝利を収めた。
「少なからず鳥取にもお世話になったので、まずは成長した姿を見せたかったですし、いつもの試合以上に勝ちにこだわる強い気持ちで臨みました。得点や試合を決定付けるアシストも狙っていたんですけど、チーム全体で点を取れて勝てたので、あの試合に関しては本当に満足しています」
やはり普段以上に「意識する部分はあった」という赤尾選手だが、個人としての活躍以上に、チームとしての勝利に強いこだわりを見せる。次節、福島ユナイテッド戦についても、「何が何でも、どんな泥臭い試合でも必ず勝ち点3を取れるようにチーム一丸となって頑張る」と意気込みを語ってくれた。
この、「何が何でも、どんな泥臭い試合でも」という言葉に、彼の信念を感じる。
その右足から繰り出されるプレーの数々は観る者を魅了するが、勝利に対して人一倍貪欲で、球際に激しく、チームのために90分間ハードワークし続ける。華麗さと泥臭さを兼ね備える姿は非常に魅力的だ。
「鹿児島ユナイテッドの赤尾公」。彼の名前を覚えておいて損はないだろう。そのプレーを、スタジアムで是非目の当たりにしてほしい。

   

   

  • 谷口功選手にツッコミを入れられながらも、笑顔でインタビューに答えて下さった赤尾選手。チームの雰囲気の良さがこちらにも伝わってきました。

Reported by 川畑究無



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