本城に長崎を迎え撃つ「バトル・オブ・九州」。昨季最終戦以来の対戦となるが、状況は当時とは大きく異なっている。
昨季最終節は長崎はプレーオフ圏内が懸かった試合。北九州はJ2昇格以降最多の入場者の中で勝利を目指した。ゲームはプレッシャーからか思うように動けなかった長崎に対し、北九州がパスを多用して主導権を握り2-1で快勝している。
だが互いが上へ上への勢いを持っていたあの試合が夢であったかのように今季は苦戦。いずれも開幕戦で勝って以降は白星が全くなく、1試合消化試合数が少ない長崎は勝点7で19位、北九州は過去最低順位タイの21位と下位に甘んじている。
北九州の試合前日の練習は、気温がぐんぐん上がる中でも通常よりも時間を割いた。紅白戦を使ってシミュレーションしたほか、セットプレー練習も入念に繰り返した。それはセットプレーが失点源になっている一方で、未だに得点源にはなりきれていないからだ。「なかなか勝てていない中で、セットプレーから1点取るというのもある」と本山雅志。柱谷幸一監督や美濃部直彦コーチも熱が入れて、何度もプレーを確かめた。
星原健太は前への推進力を課題に挙げる。ただチーム全体というよりも、「チャレンジするのも個人自身の問題だと思う」と語り、個人個人の意識を上げる必要性を訴えた。星原といえばオーバーラップしてのクロスが武器。引き込んだ守備の中で星原のスタート地点そのものも低くなっているが、負傷から復帰して「コンディションはいい」という。フレッシュな状態を生かし、周りを巻き込めるほどの闘争心を持って前に入っていきたいところだ。
セットプレーと個人の意識はこの試合のポイントになる。またセットプレーを手にするには前に入り込む必要があり、この二つの要素は密接な関係にある。G大阪戦で原一樹が見せたように前への勢いがあればFKを得ることができ、シュートを放ったりゴールライン沿いまでボールを運べばCKになる確率も上がるだろう。連戦中日とはいえ結果が必要だ。多少の無理はあっても前に行くエネルギーを持ち続けたい。
Reported by 上田真之介