〔九蹴日記〕鹿児島:開幕から先発出場を続ける期待のルーキーが、J3に旋風を起こす〔中原優生選手〕

  • 第9節でプロ初ゴールを決めた中原優生選手。目標の10得点に向けてゴール量産を期待したい。

九州大学リーグで得点王に輝いた男が、鹿児島ユナイテッドにやってくる。このニュースを耳にし、歓喜したサポーターも多かったことだろう。
今季から鹿児島に加入した中原優生選手は、鹿屋体育大所属として昨年の九州大学リーグに出場し、得点を量産。九州の名だたるFW陣を抑え、九州共立大の川野隼選手と並んで、21試合で23得点という驚異的な数字を叩きだし、MFながら得点王を獲得したのだ。学生時代からその実力を知る鹿児島サポーターも多く、加入前から大きな期待を寄せられていた。

中原選手自身、最も得意とするのは「得点を獲るプレー」と語る。シュートは左右ともに正確で、ミドルシュートも打てる。
しかし、得点力はもちろんだが、チャンスメイクする力にも長けている。ボールを簡単に失わず、前線で溜めをつくることができ、視野も広く、パスも高精度だ。
普段はトップ下のポジションだが、状況に応じFWの位置まで上がってフィニッシュに絡んだり、中盤の低い位置まで下がってゲームの組み立てに参加したりといった器用さも兼ね備える、まさに万能プレーヤーと言っていいだろう。
上背は高くないが、ヘディングも得意としている。「相手のCBの方が大きくて、普通に競り合っても勝てないことが多いので、良いポジションをとって、相手より早く予測して動くという部分はいつも気にしてやっています」という言葉通り、クロスボールの入る位置を誰よりも早く察知し、絶妙なタイミングで飛び込んでのヘディングシュートを何度も放っている。J3第9節で生まれたプロ初ゴールも、そのクロスからのヘディングだった。
それまでの8試合では得点こそなかったものの、チャンスに数多く絡み、チームの勝利に貢献してきた。だが、本人は得点が取れなかった期間、相当プレッシャーを感じていたようだ。「8試合やって点が獲れていなくて、周りはみんな点を決めていたので、そろそろ決めないと、もう試合にも出れないなというプレッシャーもありました。点を決められて本当に良かったと思います」

鹿児島ユナイテッドには、ポジションを確約された選手はいない。全員が同じ条件のもと、常に競争にさらされている。
今シーズン出場機会の少ない選手たちも、虎視眈々とスタメンを狙っているのだ。いかに期待のルーキーと言えど、安心していられる状況ではない。ポジション争いに勝ち残った者だけが、Jのピッチに立つことを許される。
それでも中原選手なら、そんな厳しいプロの世界でも生き残っていけるように思われる。
「これからもずっと試合に出ていくには、得点も重ねていかないといけないですけど、一試合通しての運動量だったり、『良い守備から良い攻撃』と監督もいつも言っているように、守備をおろそかにしないという、チームとして一番大事な部分をしっかりとやっていけたら、これからもコンスタントに試合に出ていけるのではないかと思います」と、自分のすべきこと、求められていることをきちんと整理できている。ルーキーらしい初々しさもあるが、それ以上に、一本芯の通った強さも感じられた。

その強さは、一体どこで身に付けてきたのだろうか?どうやら、学生時代を過ごした佐賀東高校と鹿屋体育大学での日々も、その強さを培う一つの要因になったようだ。
「高校の時は鹿児島から佐賀に行って、寮生活をずっと送っていたので、すごくきついことは多かったです。県外に出て、自分で何でもしていかないといけなくて、大学に行ってからもずっと一人暮らししてたんですけど、ずっと親も応援に来てくれていて、親の存在は大きかったかなと思いますし、県外に行ったことで、自分で生きていく力が付いたんじゃないかと思います」
中原選手の先輩にあたる赤崎秀平選手(鹿島)、中野嘉大選手(川崎)、後輩の平秀斗選手(鳥栖→群馬レンタル移籍)、そして実の兄である中原秀人選手(福岡)と、同じ佐賀東高校卒のJリーガーには鹿児島県出身者が多い。
厳しい練習に加えて、故郷を離れ仲間と生活を共にすることが、プロとして闘える強さを身に付け、人間的な成長につながった部分はあるかもしれない。

その鹿屋体育大時代には、天皇杯鹿児島県予選で鹿児島ユナイテッドと対戦する機会があった。
中原選手は、鹿児島について「勝ちに対する執着心が強く、守備がすごく固くて、一人ひとりが献身的に走るチーム」だと感じたという。
その年、鹿児島ユナイテッドからのオファーを受け入団を決めた。
中原選手は「地元でしたし、クラブからも気持ちを伝えて頂いたので。今はJ3ですけど、自分の力とみんなの力を合わせて、これからJ2、J1と上げていきたいという思いがありました」と、その時の心境を語る。
今シーズン、9節終了時点で4位と快進撃を続ける鹿児島ユナイテッド。中原選手は好調を維持するチームでトップ下という重要な役割を担っているが、「一応全試合に出させてもらってはいますが、得点という部分ではまだ1点しか獲れてないので、得点をもっともっと獲っていかないといけない。攻撃の組み立てでもミスも出ているので、そこの精度も上げていきたいです。自分では全然満足してないです。もっと上を目指してやっていかないと、チームとしても個人としても生き残っていけない。まだこれからです」と、立ち止まる気配は微塵もない。
「目標は10得点」という中原選手。ルーキーが簡単に達成できる数字ではないと思うが、そこを当然のように目標として挙げるところに、彼の見据えている場所の高さが垣間見える。
新人らしからぬハイレベルなプレーと高い志。近い将来、鹿児島ユナイテッドを引っ張っていく存在になってくれるのではないか。そんな期待を抱かせてくれる。
地元鹿児島の地で、鹿児島ユナイテッドとともに成長していくことを決意した新鋭が、J3に旋風を巻き起こし、J2、J1への道を切り開いていく。それは、そう遠い未来ではないはずだ。

   

   

  • 鹿児島出身の佐賀東卒Jリーガー仲間で毎年集まる機会があるとのことで、中原選手も「今年から入れてもらえそう」と楽しみにしているそうだ。

Reported by 川畑究無



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