〔J1 1st第14節:鳥栖vs.浦和〕レポート:勝点1を奪い取ったのか、分け合ったのか、勝点2を取りそこなったのか。両者の思いが出た試合。

  • 勝点1を分け合った試合だった。しかし、その内容には大きな違いがみられた試合でもあった。
  • 明治安田生命J1
  • 1st第14節
  • 鳥栖
  • 浦和
  • ベストアメニティスタジアム
  • 2016年5月29日16:04

まず、初めにある選手の言葉を紹介する。
「サッカーはまずは守備ありき。(中略)その中から少ないチャンスで得点を奪って勝たないと世界では戦えない」
サッカー観は百人百様であることは重々承知しているが、今節の鳥栖対浦和戦では、両監督のサッカー観の違いがそのまま試合に出た内容だった。
勝点1を奪い取ったのか、分け合ったのか、勝点2を取りそこなったのか・・・

試合後の両監督のコメントをもう一度確認しておきたい。
フィッカデンティ監督(鳥栖)は「戦い切った試合でした。(中略)システムを頻繁に変えながら戦うことを選手に求めてうまく表現してくれました。ナイスゲームだったと思います」
ペトロヴィッチ監督(浦和)は「最後の最後まで勝利を目指して戦った選手たちを非常に誇りに思いますし、称賛に価していいと思います」
コメントだけを読むと、両者力を出し切っての引き分け試合だったように感じるが、この試合の背景を考えると素直に両監督の言葉にうなずいてもいいのか迷ってしまう。

今節を迎えるまで、鳥栖は2勝3分7敗の16位であった。前節の終了後には「残留」という言葉がフィッカデンティ監督(鳥栖)から語られていた。
どこが相手でも勝点3が欲しい状態である。まだ、年間リーグ戦の1/3が終了したばかりとはいえ、昨年の降格勝点は28以下である。今のペースでは足りない数値である。
残り試合を見据えた中で「戦い切った」(フィッカデンティ監督)試合であるならば、監督のコメントにもうなづける。
しかし、冒頭に紹介したように「少ないチャンスで得点を奪って勝たないと世界では戦えない」のがサッカー。
フィッカデンティ監督のコメントは続く。
「引いて守っていたのでカウンターをうまく生かせませんでしたし、相手のゴールまでが遠かったです。しかし、そのような戦術を用いたので仕方ないとも思います。今日の試合に関しては守る時間が長くなる試合でしたが、とにかく結果を出さないといけない状況でしたので(後略)」
言葉の綾かもしれないが、今節の戦い方では勝点1で精一杯とも受け取れる。
競合相手に無失点で終えたことは自信につながるであろうし、戦い方に変化を見せたことでこれからの試合に期待が持てる。
しかし、リーグ最少得点であることも忘れてはならない。

対する浦和は、25日にFCソウルとアウェイで120分間を戦ってのアウェイ戦だった。
結果はPK戦で敗れてしまい、ラウンド16の突破はならなかった。
その結果を受けて「悔しい気持ちを持つ中で、今日の試合に勝つという気持ちが見えたからこそ(先発メンバーを代えずに)起用しました」(ペトロヴィッチ監督)とのこと。
ACLでもリーグ戦でも関係なく、この気持ちが強豪クラブに課せられた使命なのであろう。選手たちも異口同音に「勝つために試合をしに来た」ことを語っていた。この気持ちには敬意を表したい。
結果にはさぞ悔しかったに違いないが、百戦錬磨のペトロヴィッチ監督は前述したコメントを残した。
監督から見て、試合日程など相当タフな戦いになると感じていたようだ。そんな中でも、ボールを保持し続けて攻め続けたことが浦和おサッカーなのである。
繰り返すが、強豪クラブに課せられた使命を監督も選手も体現してくれた試合であった。
そして、リーグ最少失点の戦い方も見せてくれた。

サッカーは一様ではないが、試合の目的は勝つこと。
欧州チャンピオンズリーグ(CL)で準優勝に終わったアトレティコ・マドリーのディエゴ シメオネ監督は、「うちの選手たちには鼓舞のための言葉など必要ない。必要なのは安心と明確な指示、そして彼らの力を最大限に引き出すこと」と試合後に述べている。
PK戦で敗れた選手たちを評価した言葉で、選手と共に戦っていることがわかるコメントである。
しかし、続けて「2位では記憶に残らない。サッカーの試合では勝つことによって評価を受ける」とも述べている。
サッカー観は百人百様である。それでも、試合の目的は勝つことは共通している。
戦い終えた両監督のコメントを読み直してみると、お互いのチームが置かれている状況を再認識させられた。

監督のコメントばかりのレポートで申し訳ないが、結果は0-0で勝点1をお互いに加えた。
シュート数も鳥栖の3本に対して、浦和は5本とさほど変わらない。
しかし、その内容には大きな違いがあったように感じる。
クラブの規模なのか、置かれている環境なのか、監督の目指すサッカーなのか、その指示を受けて戦う選手なのか・・・
色々と考えさせる試合であった。

「サッカーは勝ってからこそ評価される」
この言葉は、頂点に立つ者こそ使える言葉なのかもしれない。
サッカーは昇格も降格もある中での戦いを強いられる。
すべてのチームが勝つことができない仕組みで勝者がいれば敗者もいるのである。
サッカーは、目の前の相手に勝ってからこそ強くなるのである。

   

   

  • 「戦い切った試合」と評価したフィッカデンティ監督(鳥栖)
  • 「厳しい状況下でよく戦った」と評価したペトロヴィッチ監督(浦和)
  • 90分間攻めの姿勢を見せた浦和。サポーターも共に戦っていた。

Reported by サカクラゲン



広告のごあんない
ニュース 月別アーカイブ 最新のニュース サイト内検索



  • trinita.eye
  • kumamoto football journal
  • オラデジ