〔J3第14節:鹿児島vs.藤枝〕プレビュー:ホーム鴨池で必勝を期す鹿児島。課題を克服し、成長した姿を見せる。

  • J3第14節、藤枝MYFC戦に向けて激しいトレーニングを続ける選手たち。

J3第13節。鹿児島ユナイテッドFCは、AC長野パルセイロを相手に苦しい戦いを強いられながらも、粘り強いプレーと豊富な運動量を武器に流れを引き寄せ、終盤の猛攻もあり価値あるドローを手にした。
しかし、選手たちからはホームで勝ち切れなかった悔しさと、「次は絶対に勝つ」という強い意志が感じられた。
6月23日、鹿児島県立サッカー・ラグビー場でのトレーニングでも、選手たちは檄を飛ばし合いながらハードワークを続けており、ピッチ上は活気に満ちていた。浅野監督も、長野戦以降のチームの雰囲気をポジティブに捉えている。
「悔しさも選手たちから感じますし、ホームだったので勝ち点3は獲りたかったので、勝ち点1に終わったのは残念ですけども、我々の闘いが毎回すべて上手くいくかと言えばそうではないので。しかも相手はすごく力のあるチームですから、ああいうゲームもあると思います。むしろ、しっかり失点をゼロに抑えて、引き分けに持ち込めたという考えの方を優先しようということを、選手たちには話しました。選手たちも、悔しさを持ちながらもそういう雰囲気でいてくれるので、すごく次のゲームに期待が持てるんじゃないですかね」

前節、長野のロングボールや前線からのプレッシングに、自分たちの持ち味を出し切れなかった鹿児島だが、その課題克服に向けての取り組みも進んでいるようだ。
「これから他のチームも我々をスカウティングして、この前の長野さんのように早めにボールを放り込んで来る等、手数をかけずに自陣にボールを運んできて、そこからセカンドボールを拾ってという戦い方をしてくる可能性も十分あります。そういった時に自陣から相手陣内になかなか展開できないという状況が続いてしまうと、どうしても全体が後ろ重心になってしまうので、そこはある程度割り切って、一回相手陣内にボールを送り込むと。シンプルですけど『陣地を稼ぐ』という展開が攻撃の時に必要になってくるということも選手たちと話し合っています。ですから、大雑把な言い方かもしれませんが、相手の背後へボールを運んで、そこから全員が前向きにプレーできる時間を作っていくということも大事なのかなと。これからああいった展開になることもあるでしょうし、その時に流れを停滞させずに、我々のスタイルに持っていくためにも、そういった割り切ったやり方もあるのかなと思います」
この浅野監督の言葉にもあるように、この日のトレーニングでは、自陣でボールを奪って相手の背後を狙っていく練習も繰り返し行われていた。前節、浅野監督は序盤に「相手の土俵で戦ってしまった」ことを反省点として挙げていたが、この新たな形は、そういった相手の流れを断ち切るための有効な手段になるかもしれない。

日曜日には、ホーム鴨池に藤枝MYFCを迎えてのJ3第14節が開催される。藤枝は13節を終えて5勝2分6敗の10位につけている。順位こそ中位に甘んじてはいるが、得点ランキング3位タイの5得点をあげているFW遠藤を中心とした「つなぐサッカー」は高い攻撃力を持つ。また、身長184cmのFW峯等、前線でターゲットマンになれる可能性のある選手もいる。
自分たちの戦い方を変えてくる可能性は低いかもしれないが、長野のようにロングボールを多用してくることもないとは言い切れない。前節はブラウブリッツ秋田と死闘を演じ、試合終了間際に鹿児島出身のMF大迫が決勝ゴールを叩き込み勝利を収めている。次節、勢いをもって鹿児島へ乗り込んでくるはずだ。

浅野監督は、次節、藤枝戦についてこう分析する。
「藤枝さんは順位的にはそんなに上ではないんですが、試合を観るとすごく丁寧にやりますし、レベルの高い選手もいますし、非常にいいチームだなという印象です。結果にこだわれば、前節の我々をスカウティングして戦い方を変えてくることもあるかもしれませんが、藤枝さんは3バックになったり4バックになったりとシステムを変えることはありますが、一貫してしっかりつないで丁寧なサッカーをするチームだと思っていますから、おそらく我々に対しても、そういうストロングポイントを消してまで放り込みはしてこないのではないかと思います。つないでくる相手に対しては、今までも良い守備というのは機能していたのでやりやすいのかなとは思います。ただ、結果を求めるために攻撃の仕方を変えてくるかもしれないんですけど、そういった時には前節の反省も踏まえてしっかり対応できるように準備したいと思います」

相手がどんな戦い方をしてくるかは、試合が始まってみなければ分からない。
しかし、相手がどのような戦術をとってきたとしても、それに対応し、上回っていけるだけの準備をする。浅野監督の言葉からは、そんな覚悟が伝わってくるように感じられた。

「戦っていく中で選手はタフになってきましたし、流れが悪い時でもそれを跳ね返すだけの強いメンタリティが各選手に備わってきて、それをチームの力として相手にぶつけられるようになったので、多少自分たちの思い通りに行かない流れでも耐えられるようになったと思います。あとはそこを跳ね返して、ゴールを獲って、勝ち点3を獲っていけるようになれば、さらにチームとしてレベルアップできると思いますので、そういうところも課題の一つとして取り組んでいきたいと思います」(浅野監督)

J3参入からの快進撃で、現在も首位の座を守っている鹿児島。だが、開幕からずっと完璧な試合を続けていたわけではない。序盤はチャンスをものにできず、得点力不足に泣いた試合もあった。それでも、日々の練習を、試合を経る毎にチームは成長をみせてくれた。
徐々に攻撃がつながるシーンが増え、得点力も向上した。順位が上がっていったのも、首位に立ったのも、初めから全て上手くいっていたからではない。全員が練習をサボらず、全力で、他のチームを上回るレベルでコツコツと積み上げていった成果なのだ。
鹿児島は今、もう一つ殻を破ろうとしている。課題を明確にし、チーム全体で共有して、その克服に取り組んでいる。その成果が形になる日はいつになるのか、それは分からない。だが、次の試合でも、選手たちは必ずや成長した姿を見せてくれるはずだ。

成長を続ける鹿児島ユナイテッドFC。彼らのプレーには、プロスポーツを観戦する楽しさを伝えられるだけのパワーがある。この記事をご覧の皆さんにも、そうでない方にも、その楽しさを存分に味わってもらいたい。一人でも多く、鴨池陸上競技場へ足を運んでくださることを願っている。

   

   

Reported by 川畑究無



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