〔天皇杯4回戦:鳥栖vs.広島〕レポート:「1試合でも多く共に戦いたい」との思いを乗せた試合は広島が制す。

  • 天皇杯
  • 4回戦
  • 鳥栖
  • 広島
  • 18分柴﨑晃誠(広島)
  • 26分ピーター ウタカ(広島)
  • 53分アンデルソン ロペス(広島)
  • ベストアメニティスタジアム
  • 2016年11月12日15:04

鳥栖は金民友、広島は森崎浩司がチームを去る。
それぞれ退団、引退と事情は違うが、共通するのはお互いに チームメイト・サポーターから愛された選手である。
共に天皇杯優勝を目指し戦うのはもちろんだが、両チームに共通した想いは『1試合でも多く共に戦いたい』であろう。
そんな気持ちがどう反映されたのか。

試合は、今年のリーグ戦と似た展開で進む。
前半からボールを保持しながら攻める広島に対し、鳥栖は前からのプレスで対抗する。
鳥栖はボールを奪えばショートカウンター。
広島はそれをかいくぐれば空いたスペースから波状攻撃が可能だ。
そしてゲームが動く。

前半13分。中盤の攻防に軍配が上がったのは広島だった。
アンデルソンとウタカの距離感が良く、鳥栖DF陣 とMF陣の連携を分断する事に成功。
2人の崩しに柴崎が呼応して抜け出すと、飛び出した鳥栖GK 林彰洋の頭上を越えるループシュートで広島が先制する。
修正しつつ巻き返しを見せる鳥栖だったが、ウタカ、アンデルソン、柴崎の距離感を相殺出来ずにボールが奪えない。
前半25分。
広島・柴崎のコーナーキックからピーターウタカがマークを振り切ったスピードのまま、右脚で角度だけ変えたシュートがゴール左スミに決まる。
これには名手・林も一歩も動けず。

前半の内に2点差がついてしまう。
これ以上引き離されまいと食い下がる鳥栖。
運動量を上げ、広島への圧力を強めるが、そんな鳥栖の頑張りを断ち切るゴラッソが生まれる。
後半8分、アンデルソンロペスが魅せる。
鳥栖ゴールまで30m以上はあろうかという位置でボールを納めると、振り向き様に右脚を一閃。
これが虚を突かれた鳥栖GK林の右を抜けゴールイン!広島に3点目が入る。
鳥栖も何とか1点を取るべく激しく攻め立てるも、広島のGK林卓人を中心とした守備を崩す事が出来ない。
広島は水本、皆川をテンポ良く投入し、逃げ切りを図る。するとロスタイム前には森崎浩司がピッチに登場。紫色のサポーターのボルテージは最高潮に達する。

鳥栖もムスタファ、三丸、石川という攻撃的な選手を投入し広島を攻め立てたが力及ばず。
3対0で広島の勝利が決まる。
鳥栖にとっては金民友との別れを告げる時が来てしまったが、広島には森崎浩司との歩みが続く幸せな延長時間の始まりでもあった。

さて、鳥栖は今年から監督がマッシモフィッカデンティに代わり、堅守と走力をベースに繋ぐサッカーで進化したが、広島の完成度は高く、彼等に比するまではいかなかったようにも見えた。
しかしながら、だからこそ今日の試合は鳥栖の伸び代の大きさを予感させてくれた日でもあった。
金民友は居なくなるが、チームはそこにあり、新しい顔触れになるだろう。 だが、いつの日にか彼は帰って来るはずだ。
その時こそ、今よりももっと素晴らしいチームで彼を迎えられる存在になっていれば、より大きな幸せが皆に待っているに違いない。
その時を楽しみにしながら、また新たなシーズンを迎えたいと思う。

マッシモ フィッカデンティ監督(鳥栖)

もう少し、よい終わり方ができればよかったと思います。今日はそういうところからお話しさせていただきます。
どのような試合をしたのか、どのようなゴールを奪われ方をしたのかというところで、難しい試合にしてしまいました。
相手が何本のシュートを打ったのかは確認していませんが、3本ほどしか打たれていないのにという展開でした。広島は素晴らしいチームであることを先に言っておきますが、今年の対戦では試合をプレゼントしてしまったのかとも思います。
今日の試合で敗れたということは、広島は勝つべき試合だったと思います。
来シーズンにどのようなスタート、そのような戦い方をするべきかということは、今日の試合ですべてが台無しになったわけではありません。
ただ、来シーズンはもっと違った目標に向かってもう一つ高いところに持っていくために、いろいろとやっていかないといけません。

Q:来シーズンに向けての課題は

今年一年間でベースを作ってきましたが、そのベースだけで来シーズンに勝てるチームになるのかと言ったらそうではありません。
クラブとも話し合って選手の補強もしなければなりませんし、実際に動いています。メンバーがそろった中でチームをどのように動かしていくのかということになりますので、今の段階ではマーケットの方でよい仕事ができればと思っています。
今シーズンもここで終わりにするのではなく3~4週間の練習時間をとって、来シーズンのために20日間から25日間の時間をとりたいと思います。明日からお休みというわけではありません。
とにかく今は試合が終わった直後なので、負けたことを受け入れなければなりませんし、それに合わせてプログラムを変えていかねばなりません。そこは、やるべきことをしっかりとやるように選手たちに伝えます。
今日の試合に関しても受け入れられない部分と同時に、今シーズンはとんでもない状態になってしまうのではないかというところから選手たちは頑張って踏ん張ってJ1に残留という素晴らしい結果を残してくれました。
だからこそ、今日の試合の終わり方でよかったのかという悔しさと(内容に)受け入れられないところはあります。
終わってしまったことを言っても仕方ありませんが、この状態から来シーズンをどのようなスタートを切るかといったところは、自分たち次第でどのような形でも始められますので、私が先頭に立って気持ちを切り替えてチームを動かさないといけないと思っています。

Q:今シーズンを率いて具体的に評価できる部分は

先日計算したのですが、1stステージの名古屋戦(第15節)以降から、一試合で平均で勝点2以上を取っている時期がありました。分析しているときに結果が伴っているところが最終的に良かった時期だということになります。
勝ち負けになかで、運がよかったや悪かったというのは好きではありません。
日本に3年間もいるので、どのように物事が進むのか十分に分かっているつもりです。
具体的に簡単に言うことはできませんが、あのような試合ができたということによかった部分が凝縮されているという言い方になってしまいます。
藤田(藤田直之/神戸)や水沼(水沼宏太/FC東京)が去年のメンバーから抜けて降格やむなしと皆さんに思われるようなところから、チームのために戦うんだという選手も見ることができました。
残り10試合で残留が確定できるような状態が作れたことは、期待されていなかった選手が頑張ったということですし、そのような戦いをできたということがよかったことです。
小さなクラブがこれから良い方向に向かう中で進んでいく中、いろいろな決断をしないといけないことも出てくるでしょう。今シーズン良かったこともありましたが、そのまま最後まで来たわけではありません。よかったところを一年間続けないといけませんので、浮かれずに現実を見て、やるべきことをやり悪いところをつぶさないといけません。
私の中でチームをどこに持っていくのかというところで、現状とのズレに目をつぶらずに良いところを伸ばしていきたいと思います。

Q: 答えられる範囲で構わないので、補強についてはどのポジションが必要なのか

名前は言えませんので、言わなくてもいいと言われるとどういう選手だということも言えないと思います。(笑)
ほかのチームに、同じように今のタイムミングで何をするのかと聞いたら、まずはその結果を聞いてかということになります。
すべての選手の補強にかかっているというような意味ではなく、今いる選手に満足しているわkでもありません。
足りないピースはありますので、ほとんどの選手が残る中で何人かは補強しないともう一つ上には行けないと会社にはリクエストしています。
長い時間をかけてクラブは動いてくれていますし、これから少しずつハッキリといえることだと思います。
悪い終わり方でしたが、一年間ありがとうございました。

   

森保一監督(広島)

まずはここ『ベアスタ』で戦うのはいつも難しい戦いになりますし、今日も厳しい戦いになることを覚悟してやってきました。
結果は3-0でしたけど、内容的には非常に厳しいものもありましたし、その中で選手が勝ち切ってくれました。
まずは勝つことを目標に次のステージに進むこと。
天皇杯の元日決勝では何度も悔しい思いをしているので、そこでタイトルを獲ることを選手たちが考えて、まずは今日の一戦によく準備をしてくれて出し切ってくれたと思います。
リーグ戦が一区切りしてそのあとの天皇杯で、次の試合は12月24日まで空きます。その間には契約更改なども含め、精神的には非常に難しい中での準備やプレーになるということは分かっていました。しかし、我々は勝っていく集団なんだということで選手たちはタフな気持ちを持ってタフな戦いを制してくれたと思います。
試合はあまりシュート数が多い試合ではありませんでしたが、お互いの戦術的にチームのやるべきコンセプトのもとで 戦いました。
その中で、直近のJリーグの2ndステージの第12節(鳥栖対広島戦)の時も、我々が3点リードしたなかで2点追い上げられてバタバタとした勝利になりました。今回も同じような展開で3点リードして、そこから3-0で終わらせる、無失点で試合を終える部分が、シーズンの終盤にかけて難しい戦いの中で選手たちが前回の対戦からの修正で成長を見せてくれたと思っています。

Q:リーグ戦終盤から守備の安定を取り戻しつつあるが

守備全体で、これまでも破たんを来しているというふうには思っていませんでしたけど、少し曖昧なところがあって相手にチャンスを与えたり、失点するという部分がこれまでのシーズンで起こっていたと思います。
チームとしてそこを修正できて戦っている状況の中、割り切ってやっていますし、ハッキリと意思統一しながら守備をスタートさせる部分は今日の試合では良かったと思います。
特に攻撃から守備に切り替わった時に行くのか行かないのかというところは、本当に基本中の基本なのですが、そこをハッキリするという部分の意思統一でき、守備のスタートが今日の試合は良かったと思っています。

Q:準々決勝まで6週間空くという日程だが難しさは

難しいと思います。
まずは長いシーズンを戦ってきているので。長期間のオフでシーズンオフのようなとらえ方もできると思います。
今季だけではなくて昨季からうちでプレーしている選手は去年のシーズンが終わってチャンピオンシップがあって、その後にクラブワールドカップがあって、天皇杯も準決勝まで行って12月に8試合を戦いました。
終わったあとにACLもあるのであまり休みも取れずに今季に入って来たので、2年間ぶっ通しで走ってきているような状況です。
ここで完全にスイッチを切らせてあげて休ませてあげたいところですけが、次の戦いを見据えた休みになるので難しいというふうには思います。
選手にはロッカールームでも言いましたが、強いチームというのは勝っていくことで試合数も多くなると。そこは誇りに思ってやるということと選手としての成長と価値がそこで上がっていくところを得られます。
あるいは選手としてもう1つステップアップしていくということは、この舞台から今は日本代表の試合で予選もやっていますし、昨日もキリンチャレンジカップをやっていました。そういう舞台に立つということは、ほかの人が休んでいる時に試合をして、活動をして戻ってきて疲労を取る時間もないところでチームで活動をしていかなければいけませんし、相当タフな戦いをしていかなければなりません。
スケジュールをこなしていかなければならないという部分で、良い選手になろうと思ったらそこは当たり前のことなので、みんなが高いところを目指してやっていると思いますし、次に向けてまずは3週間休める人は3週間休んでもらって、12月の頭から練習を始めるということです。
これまで今季の出場機会の少なかった選手や出場時間の少なかった選手に関しては、あさってオーストラリアに出発して、1週間オーストラリアでキャンプをしながら2試合こなして来ます。
そういうことをやった後で2週間休んでもらいます。次の天皇杯、12月24日に備えていきたいと思います。
難しい戦いですけど、先ほども言った通り、良い選手と強いチームはたくさん試合をこなすということです。どんなタフなスケジュールの中でも良いプレーを見せていくということで優勝を目指してやっていきたいと思います。

   

金民友選手(鳥栖)

今日の試合は、自分たちの実力を確かめることができた試合でした。
それと、私自身はこの試合にすべてを掛けましたが、想いは少し足りませんでした。
キャプテンとしての責任も感じましたし、多くの方に見に来ていただいて、申し訳ない気持ちと感謝の気持ちがあります。
内容よりも結果にこだわりましたが、結果につながらず悔しいです。
鳥栖に来てからの7年間経ちましたが、この試合で皆さんに勝利を届けられなかったのが一番悔しいです。
それと、この試合で最後となったことがとても寂しかったです。
最後まで一緒に戦ってれた皆さんに感謝します。
いつも、背中を押してくれましたので、今日の試合は勝ってもっと試合をしたかったです。皆さんにも申し訳ないし、私も悔しかったです。
ロッカールームに入っても涙が止まらなかったですし、チームメイトからは話しかけづらかったようです。
サポーターの皆さんの声援は、すべて心の中に入っています。
私も寂しいですが、サガン鳥栖は成長していくクラブですので、私も韓国から応援させていただきます。
今年だけでなく、今まで素晴らしい応援をいただきありがとうございました。
これからも、さらなる上を目指して皆さんで頑張ってください。

Reported by 久留 米太郎(ひさどめ よねたろう)



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