【試合レポート】鳥栖:初の海外タイトル戦はPK戦での惜敗。鳥栖のサッカーからアジアサッカーを図る。

「無理していくよりも、賢く試合運びをできることも重要」と森下監督は語った。

鳥栖のスタイルは、前線からのハードプレスに奪った後の早い攻撃である。

そこを敢えて封印しないといけないほど、この日のスパチャラサイ国立競技場(バンコク)は異常なまでに暑かった。

 



「失点ゼロは評価できる」と森下監督は言い切った。守備で最も重要なことは、相手の失点よりも少なくすること。そうすることで負けることはない。森下監督は、相手の攻撃から無失点で乗り切ったことを評価した。

しかし、勝つためには相手よりも多く得点をあげないといけない。BECテロ・サーサナFCの攻撃を無失点で乗り切ったということは、鳥栖は1得点でもあげていれば、トヨタプレミアカップ2014のチャンピオンになっていたわけである。とはいえ、この日の鳥栖はこの一点が遠かった。



2015年シーズンの鳥栖のスローガンは、『Next Stage挑戦』である。

Jリーグのチャンピオンを目指し、ACL出場を果たし、その先にある栄冠を得るためのステージに挑戦するシーズンなのである。

そのためには、このトヨタプレミアカップ2014での戦いは、力を試すだけでなく鳥栖に足りないものを見つけるための試合と言っていいだろう。

PK戦での惜敗は非常に悔しいものだったが、ACL出場経験もあり、タイプレミアリーグ優勝経験を持つBECテロ・サーサナFCの戦い方は非常に狡猾でもあり、ホームならではの戦いを仕掛けてきたと言える。

 


試合開始は16時。と言ってもまだ陽射しはきつく、ピッチの上では相当に暑く感じたのではないだろうか。

プロフェッショナルの試合としては珍しく、後半に入って給水タイムを取るほどだった。

「前半は無理をせず後半勝負」とMF藤田直之はこの日の戦術を語った。その言葉通り、前半は相手のボールをがむしゃらに追うシーンは見られず、相手に持たせておいて自陣に入ってくるまでプレスを抑えていた。これは、相手も同様でこの暑さの中での試合では常套手段ともいえる。互いのプレースタイルが、前線に強力な攻撃陣を持っているために長いボールを使う傾向にあるが、お互いに守備ブロックを引けばストロングポイントは出しにくい。ましてやお互いのエースにしっかりとマークがつけば、ボールは出しにくい。

このような状況の中で、どのような手段で点を取るかを試される試合だったともいえる。

 


結果は、お互いに決定機と言えるほどの好機を迎えることができなかった。ワンチャンスでも決めていれば、そのチームが勝つような試合運びだった。

「一人一人の運動量もアイデアも少なかった」と藤田は無得点の理由を試合後に語ったが、持ち味である運動量も攻撃のアイデアも出せずに終わった試合と言える.ここを抑えられたことこそが、炎天下の中での狡猾なチームの試合運びなのだろう。

確かに72分のDF吉田が2枚目の警告を受けて数的不利な状態になったことも「ゲームプランが変わった」(森下監督)鳥栖には不運と言える。無失点でPK戦まで持ち込むことは、不利な状況の中でも好結果と言えるかもしれない。個人で突破できる白星東(ペクソンドン)を前線に入れて相手が出てくるところを抑え、最後はDFに小林久晃をいれて守備を強固にした森下監督の采配も冴えた。

 

しかし、アジアの先にあるものを目指す鳥栖にとっては少々物足りなさも感じたことも否めない。

タイ・プレミアリーグの強豪相手には、鳥栖の持っている攻撃パターンだけでは少ないことも分かった。FW豊田陽平に入ってきたボールには、相手も激しく身体をぶつけてきた。2度ほどの肘打ちも豊田の強さをわかっているからのプレーなのだろう。鳥栖のストロングポイントを消されてしまえば連動した攻撃にはつなげられない。その結果が「一人一人の運動量もアイデアも少なかった」(藤田)ことにつながる。

 

そして、レフェリングの癖も特筆しておきたい。この日のレフェリーの判断は、反則が起きてからすぐではなく、一呼吸を置いてからのものだった。アドバンテージを取っているのではなく、争点での結果を見極めたうえでのホイッスルであった。

足をかけられた選手が倒れたのを見てホイッスルを吹くことも多ければ、選手のアピールで判断するシーンも見られた。このレフェリングがいわゆる“ホームアドバンテージ”と見ることもできる。

このレフェリングの癖を味方につけることも、アジアの戦いにつながるのではないだろうか。これも、『Next Stage挑戦』につながると思う。

 

所変われば、環境は違う。環境が変われば、平常心を保つことも難しい。相手と戦うだけでなく、己とも戦わねばならない。

鳥栖がさらに大きくなるための指標を観ることができる試合であった。

バンコク中には、イングランド・プレミアリーグの看板やグッズが売られている。週末になると時差を利用してタイ・プレミアリーグ観戦を行い、未明までイングランド・プレミアリーグの試合をTV観戦する国なのである。娯楽がサッカーともいえる文化の中で勝ち抜かないと、その先には行けないのである。

まだまだ、サッカーを学ばなければいけないと知らされた一戦だった。

 

 

Reported by サカクラゲン

 

   

   



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