〔天皇杯1回戦:北九州vs.J.FC宮崎〕レポート:個の技術差は見せつけたが・・・。J2北九州、思わぬ苦戦。J.FC宮崎は全社見据え経験積む。

  • 試合後の北九州の選手たち。笑顔なく引き上げた
  • 天皇杯
  • 1回戦
  • 北九州
  • J.FC宮崎
  • 45+2分 多田高行(北九州)
  • 56分 松村和希(J.FC宮崎)
  • 74分 小松塁(北九州)
  • 本城陸上競技場
  • 2015年8月29日 16:00

メーンスタンドに向かって一礼し、ロッカールームに引き上げる北九州のイレブン。勝利の笑みはなく、憮然とした表情さえ浮かべる選手もいた。「チャレンジしていたか」。厳しい言葉も漏れ聞こえた。

本城に迎えたJ.FC MIYAZAKI(J.FC宮崎)は九州リーグに所属。現在のヒエラルキーからはJ1、J2、J3・JFLの下部に位置する4.5~5部に相当し、J2の北九州からは明確な差がある。特に個人の力の差は大きく、実際にその部分のギャップを見せつけたのだが。

J.FC宮崎は3-4-3のシステム。「自分たちのプランの中では守備からしっかり入ろう」(常松貴久監督)という狙いから、ディフェンスに転じた際は両サイドの選手が1列降りて5-4-1でブロックを構築した。さらには北九州のストロングポイントたる背後を突く動きを封じるべく、ラインの上下動をコントロールしオフサイドトラップを仕掛けていく。これが効き北九州はオフサイドを何度となく喰らうと、次第に原一樹と渡大生で臨んだ2トップへの供給が減っていってしまう。
スコアが動いたのは前半のアディショナルタイムに入ってから。起点となったのは敵陣右サイドで得たフリーキック。風間宏希が放り込んだボールは一度ははじかれるが、セカンドボールを北九州が拾い小手川宏基がクロスを入れる。フリーキック後だったことと時間帯から考えても前半のラストプレーだったことからゴール前は北九州の選手が多く、このクロスに残っていた前田和哉が競り、さらにこぼれたところを多田高行が頭で押し込んだ。「カズさん(前田)が(競り合いに)勝つと分かっていたので、あのへんにこぼれるなと」と多田。先発起用に応えるゴールとなった。

迎えた後半、入りが良かったのはJ.FC宮崎だった。48分にMF久木元宏行がミドルレンジから、50分にはMF戸波恵斗が左サイドからドリブルで持ち込みゴールを狙う。こうした積極姿勢がついに結実。56分、右サイドからのアーリークロスに松村和希が抜け出して合わせ、1-1とした。「ウイングバックの二人には、ボールを持ったら、グラウンドがスリッピーで難しいですが『放ってほしい』と話していた」と松村。試合を振り出しに戻し、J.FC宮崎はなおもカウンターを狙っていく。
ゲームの流れがどちらに傾いてもおかしくない中、北九州は小松塁を投入。体躯、技術に勝る小松は明らかにJ.FC宮崎の守備陣を手こずらせた。待望のゴールは74分。その小松がフェイントを絡めたドリブルでひらりひらりと鮮やかに切り返してディフェンスを翻弄、ペナルティアーク付近から矢のようにシュートを放って勝ち越した。
結局はこのゴールが決勝点。北九州が2-1で勝ち、2回戦、水戸戦へと駒を進めることになった。

個の技術レベルの高さは見せた試合だったが、白星以外に特筆する点を見出すことは難しいゲームになった。柱谷幸一監督は「みなさんご覧の通りひどい内容」と振り返り、「ボールを前に入れないと何も起こらない」と話した。その言葉の通りだろう。相手の守備のやり方やピッチコンディションはあるにしても、勝負に出なければゴールなど生まれはしない。リーグ戦前節の水戸戦にも見えた勝負へのこだわりの欠如を厳しく自分たちに問いかけ、次戦に繋げたい。

J.FC宮崎から見れば北九州を苦しめたことは事実であるし、手応えにもなった。「自分たちがやれるんだというところもところどころあった」。そう話したのはチーム最年長であり、2002年にアビスパ福岡の選手としてJリーグ出場経験がある長友耕一郎。チームは現在九州リーグ3位で優勝の望みはなく(優勝の可能性があるのは1位・新日鐵住金大分か、消化試合数が1試合少ない2位・テゲバジャーロ宮崎のみ)、JFL昇格を懸けた地域決勝に出場するには、同じように一発勝負が続く全国社会人サッカー選手権(全社)を勝ち抜くしか手段がない。ゴールを決めた松村は「これからの全社の中で生かしていきたい」と決意。経験を秋の厳しい戦いに向けたステップにしていきたい。

北九州:弓崎が初先発

このゲームでは弓崎恭平が左サイドバックで公式戦初先発。「小学校時代の監督も来ていた」という中、弓崎はサイドハーフで起用された多田のアシストを受けて積極的に攻撃に絡んだ。特にピッチにも慣れた後半はチャンスを作り出し、70分に弓崎のクロスから原一樹がヘディングシュート、86分には自らドリブルで左サイドから切り込み強烈なミドルシュートを放った。いずれもゴールネットを揺らすには至らなかったが、「1試合出られたのでここからスタメン狙っていきたい」と前を向いた。

   

   

〔天皇杯1回戦:北九州vs.J.FC宮崎〕各種コメント・試合前写真

Reported by 上田真之介



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