〔J2第42節:熊本vs.岡山〕レポート:勝点差1の対決は決着つかず。双方とも来シーズンへの課題も見えた最終戦。

  • 明治安田生命J2
  • 第42節
  • 熊本
  • 岡山
  • 72分 齊藤和樹(熊本)
  • 86分 岩政大樹(岡山)
  • うまかな・よかなスタジアム
  • 2015年11月23日 14:03

「最後の一分一秒まで!!」ーー。熊本ゴール裏に掲げられた横断幕にあった通り、今シーズンの終わりを告げる笛が鳴るまで、両チームの選手達は死力を尽くして相手ゴールに迫った。熊本の小野剛監督が「お互いに出しきった試合になった」と言えば、岡山・長澤徹監督も「見ていた人にはすごくおもしろいゲームだったと思います」と振り返る。だがネットを揺らしたのは双方1度ずつ。それぞれ勝点1を加えるにとどまり、リーグ戦の全日程を終えた。

 ゲームの入りは岡山が制した。というのも、「ピボットの選手に時間を与えたり、余裕を与えたりしてしまうとかなり主導権を取ってくる。(中略)ピボットに入ってから潰すというより、その前段階でプレッシャーをかけてピボットにボールを流させない」(長澤監督)という狙いから、出場停止が明けて先発に復帰した押谷祐樹を頂点にした3トップ、澤口雅彦と田中奏一の両ワイド、さらには島田譲と矢島慎也まで含めた中盤から前が立ち上がりから積極的かつ的確にプレッシャーをかけ、熊本にゲームを作らせない展開に持ち込んだからである。この点について、熊本のボランチ上村周平は次のように話している。
「相手の圧力がかかっていたかは分からないけど、自分ではそう感じていた。後ろでつなぐ部分があったので、後ろの選手に『割り切って蹴っていい』と話した」。

 岡山はボールを奪う段階、また奪った後も非常にいいポジションバランスを保っていたが、熊本にしてみれば相手が選手間で近い距離を取っているぶん、効果的に使えるスペースがありながら、序盤はそれを上手く生かせていない。「相手の背後を狙って、それが相手ボールになっても攻め込んでいけた」と上村が言うように、そのスペースを使えるようになって攻撃の形ができ始めたのは30分を過ぎた辺りから。しかしカウンターから嶋田慎太郎が持ち込んだ32分、さらに黒木晃平から嶋田、その跳ね返りを清武功暉が狙った39分と、2度の決定機を決めきれずに前半を折り返した。

 後半も、62分に平繁龍一を投入した効果もあって流れを引き寄せた熊本がペースを握り、一旦ワイドに出た清武が深い位置までえぐる形を作る。72分、2度続いたスローインの後で得た左コーナーキックのタイミングで、小野監督は中山雄登を下げ、今シーズン初めてベンチスタートとなった齊藤和樹をピッチへ。この起用に齊藤がファーストプレーで応えた。清武の柔らかいキックとコーナーを得るまでに至った流れ、さらには嶋田と平繁がニアに入って相手を引っ張り、園田拓也がGK中林洋次の前で競ってつぶれるなど、齊藤がフリーになる状況を作る動きも含めて、チーム全体で奪った先制点だった。
 しかし岡山も諦めず、81分には島田と伊藤大介を下げて黄辰成と渡邉一仁を同時に投入。終盤にかけてオープンになっていく中、86分に岡本の落としから竹田忠嗣につなぎ、最後はキャプテンの岩政大樹が流し込んで同点に。その後90+3分に熊本は交代出場の藏川洋平が持ち込む決定機を迎えたがシュートは中林の正面に飛び、ともにもう1点は奪えなかった。

 熊本にとっては、内容とゲーム展開、そして結果まで含め、今年を象徴する一戦だったと言える。同時に岡山にも当てはまると思われるが、局面での判断とスキルの精度、強度とスピード、スコアが動いた後のゲームコントロールやクローズの仕方まで、この2チームがわずかなところでプレーオフ進出を逃した要因が、この試合には隠れている。
「振り返ると、あそこで勝ち点取れていたのになとか、粘っていたら勝点3だったのにとか、そういうことが思い出される」とはキャリアハイとなる12ゴールを記録した齊藤のコメントだ。3位になった福岡が驚異的な勝点を積んで4位以下を大きく引き離した背景もあるが、熊本は7、岡山も6と、6位に滑り込んだ長崎との勝点差は決して大きくなく、前述した要素の質が高ければ「そこ」に届いていた可能性は十分にある。

 今シーズンの結果を見れば、愛媛がJリーグ10年目で初、長崎にいたってはJリーグ3年目で2回目のプレーオフ進出を果たした。もちろんチーム編成や強化、監督の手腕といった部分の差はあろう。それでも、8年目の熊本、7年目の岡山、あるいはその他多くのチームにとって、プレーオフ進出と昇格争い、そして昇格はもはや、クラブの予算規模や過去の実績だけに左右されるものでも、遠い夢でもなくなった。それは実現することが可能で、外からの目をはばからず堂々と、目標として掲げていいことを実感できたシーズン。
 きっと来年も、信じられないようなドラマが待っているはずだし、チームが変わっていくことは避けられない現実だけれど、今年得たものを糧にさらにステップアップして、来年こそは当事者になろう。

   

   

〔J2第42節:熊本vs.岡山〕プレビュー

〔J2第42節:熊本vs.岡山〕各種コメント・試合前写真

Reported by 井芹貴志



広告のごあんない
ニュース 月別アーカイブ 最新のニュース サイト内検索



  • trinita.eye
  • kumamoto football journal
  • オラデジ